都内の女

紛い物の造形品を眺めている女がいた。都内の美術館で。彼女はそれが、紛い物であると知っているのか知らないのか、俺には分からないが、とにかくただ観察していた。俺は彼女を。彼女は造形品を。

ある程度、煙草一本分の時間が流れた。俺の目線は尻からじりじりと登り(いくら努力した所でじりじりと)顔を見た。

彼女は−泣いていた。
感極まって。

言わなかった俺は。
それが、フェイクだとか、世界はジョークだとか、涙はナルシズムだとか。

それから2日間、俺は何かに取り憑かれたように悩んでいた。

もちろん、3日後はけろっとして、部外者を決め込んでいる俺。

今になってふと思う。触れなくてよかったのか。本当に。

女の尻に 
いやこれはジョーク
あの2日間に本当は決断するべきだったのかもしれない。

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